魅力的なお店の紹介(実績店レポート)    出典は月刊ブランスリー お店拝見(2007年5月号)
できる限り自然に近い状態で育ったものを使いたい。旬の素材をふんだんにとり入れる
「Meister かきぬまs Backstube」

厨房には大きな石窯が2台並んで設置されていて、圧巻だ。
「安心・安全でおいしいパン」。その意味するところを確実に実践するには大変な労力が必要だ。愛知県名古屋市のベーカリー、Meister かきぬまs Backstubeは、「安心・安全でおいしいパン」を提供するための大変な労力をいとわないベーカリーだ。

住所 愛知県名古屋市千種区星ヶ丘山手113
電話 052-781-3353
営業時間 午前10時〜午後7時(平日・土曜日)、午前10時〜午後6時(日曜日・祭日)
定休日 木曜日
品揃え およそ20品目
最寄り駅 名古屋市営地下鉄東山線・星ヶ丘駅(徒歩約3分)
店舗面積 約21坪(厨房約15坪、販売スペース約6坪)
客単価 800円
日商 およそ15万円
スタッフ 販売常時1人、製造常時5人


店舗は、木の外壁で、ナチュラルなイメージを打ち出している。


陳列台などの什器はすべて木製で、温かなイメージを打ち出している。


製造スタッフが勢揃い。中央が店長の柿沼理さん
すべてのパンを石窯で焼成する

 店長の柿沼理さんは、20歳のときにドイツに渡り、10年間いろいろなベーカリーで修業を積んだ。そして、ドイツ・マイスター制度の製菓と製パンのマイスターの資格を取得した。
 柿沼さんの父親は、「ゾンネガルテン」という自然食品店を営んでいる。現代人の食生活への疑問からスタートし、近隣の農場から無農薬・無化学肥料の旬の野菜や果物などを仕入れて販売するほか、無添加の日用雑貨、自然食品についての書籍などを扱い、「心と体に優しい暮らし」のサポートを行っている。
 柿沼さんは、ドイツから帰国後、「ゾンネガルテン」の中にあったパン工房でパンを作っていた。
 その後、「ゾンネガルテン」のパン工房部門を独立させる形で、昨年7月に、現在の場所に「Meister かきぬまs Backstube」をオープンした。
 同ベーカリーには、窯が2台あって、両方とも石窯(ツジ・キカイ製)だ。
 柿沼さんは「焼いているときにパンの水分を奪いません。また、高い温度で焼いても、表面が焦げません。皮が薄く香ばしく焼き上がります。最初は石窯1台と通常の平窯1台を入れるつもりでいたのですが、テスト焼きをしてみたら、あまりにも違いが歴然としていたので、費用的にはきつかったのですが、思い切って2台とも石窯にしました」と話す。
 パンの原材料にもこだわっている。
 「できる限り自然に近い状態で育ったものを使いたい」という基本姿勢から、酵母はすべて自家培養のものを使用。レーズンからおこした自然発酵種や、ドイツから輸入したバックフェルメントなどを使用している。自然発酵種の種類は全部で5種類ほどあるという。
 全粒粉もすべて、自家製のものを使用している。小麦の粒を仕入れて、石臼で挽いているのだ。「レーズンからおこす発酵種に全粒粉を使っているのですが、これが挽いてから時間が経っていないフレッシュなものでないと駄目なんですね」と柿沼さん。
 できる限り安全な材料を使いたいとの考えから、使用する小麦粉はほぼすべてが内麦粉だ。
 あんも自家製。北海道産の小豆を仕入れて、自店で炊いている。
 アプリコットジャムやブルーベリージャム,メイプルシロップ、はちみつなどの自然食品も店内に陳列し、販売している。ゾンネガルテンから仕入れたものを販売する形だ。



L字型に配されたパンの陳列台は、温かみのある木製だ。パンが見やすいようにひな壇式になっている。


アプリコットジャムやブルーベリージャム,メイプルシロップ、はちみつなどの自然食品も店内に陳列し、販売している。


自家製の全粒粉は、袋に入れて販売もしている。


入り口のドアには「焼けてます」と書かれた札が立てかけられていた。
通年の商品と月替わりの商品

同ベーカリーでは、年間を通して販売する定番の商品と、月ごとに入れ替わる商品がある。
 全体の品揃えはおよそ20品目。その内8〜10品目が通年の定番商品だ。月替わりの商品には、その時々の旬の果物や野菜などをふんだんに使う。
 4月には、愛知県内の農場から調達した苺を使用する。6月には、岐阜県の農場からルバーブを仕入れる。7月には、近隣の農場からブルーベリーが入ってくる。こうした仕入先とは、柿沼さんの父親が自然食品店を営んできた過程で、信頼関係を築き上げた。焼き菓子やデニッシュなどに使う。
 ジャムなどの副材料もこうした仕入先から調達したフルーツ類から作られる。いちごジャム、ルバーブジャム、ブルーベリージャムなどがそうだ。
 シュトーレンに使うレモンピールやオレンジピールなども自家製だ。
 「プライスカードには、使用している原材料も表示して、お客様に安心して買っていただけるようにしています。また、お客様が買うときに分かりやすいように、卵とバターを使用している商品には、黄色いプライスカードを使い、それ以外の商品には白のプライスカードを使用しています」
 一方、パンの卸販売にも力を入れている。百貨店や自然食品店などが販売先だ。売上のおよそ6割が卸販売によるものだという。
 「パン作りの基本的なスタンスは?」との質問に柿沼さんは「じっくりと発酵させて、材料が本来持っている良さを最大限に引き出してやることだと思います。うちの売りは、品揃えの半分を占めるハード系です。ハード系に見えて、食べてみるとハード系の味と食感ではない、というのは私の中では、NGなんです。ライ麦パンだったら、それにふさわしい量のライ麦粉が入っているべきだと思います。要するに偽物ではなく本物のハード系ということです」(柿沼さん)



内麦粉を使用してじっくりと低温長時間発酵させた「石窯食パン」


パイ生地とココアクッキー生地を使用した「ココアのBrezel」


自家製の粒あんをブリオッシュ生地で包んで焼き上げた「ブリオッシュあんぱん」。リッチなブリオッシュと手作りの粒あんがよく合う。


焼き菓子類も充実。「五穀とよもぎのブロック」(左下)と「塩ブロック」(右上)
入り口のドアに「焼けてます」と書かれた木の札が立てかけられていて、食欲を刺激する

ていねいに作られた様々なパンが並ぶ


 Meister かきぬまs Backstubeは、JR名古屋駅から市営地下鉄東山線に乗り、星ヶ丘駅で下車、徒歩およそ3分の東山通沿いの場所にある。
 店舗は、木の外壁で、ナチュラルなイメージを打ち出している。入り口のドアに「焼けてます」と書かれた木の札が立てかけられていて、道行く人たちの食欲を刺激する。
 店内も陳列台などはすべて木製で、「自然」のイメージだ。売り場はおよそ6坪。陳列台には、丁寧に作られた様々なパンが並んでいた。
 「石窯食パン」(399円)は、内麦粉を使用してじっくりと低温長時間発酵させたパンで、シンプルで深い味わいが特徴だ。柿沼さんによると、低温長時間発酵のメリットのひとつは、生地の水和が充分に得られる点だという。
 「石窯レーズン食パン」(294円)は、石窯食パンの生地に、オーガニックレーズンを練り込んだ商品。
 「ココアのBrezel」(189円)は、パイ生地とココアクッキー生地を使用した商品。「ドイツのプレッツェルは、焼く前にラウゲン(苛性ソーダ溶液)に浸すのですが、これはうちの方針に反します。ドイツにはいろいろなプレッツェルがあって、『ココアのBrezel』のようにパイ生地を使用したものもあるんですよ」と柿沼さん。
 「石窯カンパーニュ」(ホール1050円、ハーフ525円)は、内麦粉の他にライ麦粉を配合。種はカンパーニュ種を使用している。800グラム分割の大きなパンだ。「カンパーニュは大きく焼いた方がおいしいですね」と柿沼さん。
 「アールグレイのプルーンパン」(2個で336円)は、石窯カンパーニュの生地に、アールグレイの茶葉とプルーンを練り込んだ商品だ。
 「カンパーニュ・ノア」(399円)は、石窯カンパーニュの生地に、オーガニックレーズンと、オーガニックのくるみをたっぷりと練り込んだ商品。
 「パン・オ・ノア」(399円)は、オーガニックのくるみを使用したパンで、生地には自家製の全粒粉を50%配合。ライ麦粉も入れている。
 「石窯ベーグル(プレーン)」(165円、2個で315円)は、もちっとした食感が特徴のベーグル。菜種油を練り込んでいる。
 「ブリオッシュあんぱん」(210円)は、自家製の粒あんをブリオッシュ生地で包んで焼き上げた商品で、リッチなブリオッシュと手作りの粒あんがよく合う。
 「りんごとくるみのケーキ」(756円)は、自家製のりんご煮と干しりんごを使用したパウンド型のケーキ。
 「五穀とよもぎのブロック」(378円)や「塩ブロック」(336円)などの焼き菓子類も充実している。



ミルクティーと全卵を配合したリッチなパンで、独特の味わいがある「ミルクティープチパン」
ミルクティープチパン

 ミルクティーと全卵を配合したリッチなパンで、独特の味わいがある。水は使用しない。3個で231円。
 【配合グラム】
発酵種‥‥‥‥‥‥875
内麦粉(テリア)‥‥500
レーズン種‥‥‥‥‥‥50
粗糖‥‥‥‥‥‥‥‥‥50
塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13
全卵‥‥‥‥‥‥‥150
ミルクティー‥‥‥‥120
紅茶葉‥‥‥‥‥‥‥10
バター‥‥‥‥‥‥100
 【工程】
ミキシング(オールインワン)‥L2分30秒H5分30秒
捏ね上げ温度‥‥‥28度C
フロアタイム‥‥‥‥1時間
分割‥‥‥‥‥‥‥40グラム
成形‥‥‥‥‥まるめ直して、少し楕円形に成形する
ホイロ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥31度C75%3時間30分
焼成‥‥‥‥上火210度C下火200度C12〜13分
 ※焼成前に卵を塗る。
   ◇
 同ベーカリーは、厨房が約15坪で、売り場が約6坪の広さだ。
 スタッフは、製造が6人いて、常時5人の体制。
 柿沼さんとサブチーフの杉江さんが隔週2日の休みをとり、残りのスタッフは週休2日制だ。販売スタッフは、常時1人。
 厨房はゆったりとした感じで、製パン作業がしやすいように工夫されている。また、大きな石窯が2台並んで設置されていて、かなりの迫力がある。



もちっとした食感が特徴の「石窯ベーグル(プレーン)」。菜種油を練り込んでいる。

石窯カンパーニュの生地に、アールグレイの茶葉とプルーンを練り込んだ「アールグレイのプルーンパン」

「石窯カンパーニュ」(右)、「カンパーニュ・ノア」(中央)、「パン・オ・ノア」(左)

自家製のりんご煮と干しりんごを使用したパウンド型の「りんごとくるみのケーキ」

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